これは、テイラー・スウィフトが(主役じゃないけど)出ている映画『The Giver』の予告編。去年アメリカで公開されたけど、日本ではまだ出そうにないような・・。
ストーリーが面白そうなので、原作を読んでみました。世界中で1千万部売れたという『ギヴァー 記憶を注ぐ者』。(小説を読むのって、ものすごく久しぶり) 最初の邦訳が絶版になったので、日本のファンが「『ギヴァー』を全国の読者に届ける会」なるものを結成して、新たな翻訳を出したということですよ。
うん、なかなかいい。(^^)
著者はロイス・ローリーというアメリカ人で、第二次大戦後まもなく、十代のときに東京に住んでいます。確か、その時の経験もこの本の構想に反映されたとどこかで読んだような・・。
まあ、とにかく、これは近未来の、戦争も飢餓も貧困も苦痛もないユートピアについて。みんなその中で幸せに暮らしているんだけど、その代償に選択の自由や深い感情を失った社会の話です。シンプルだけど考えさせられます。
作物に影響を与えるからと雪が降らないように天候を一定化し、妬みや争いが起こらないようにすべてを同一化し・・とにかく、あらゆる「差異」を排除しつくしてできた世界。
ここでの人生は、完璧な秩序に基づいていて、すべてが予測可能で――いっさい痛みをともなわない。それが、人々の選んだ道だ。
人生から「悪い」ものをすべて取り除こうとすれば、どうしても個人の選択というものを犠牲にしないといけないんでしょうね。そうすると、色々な意味で起伏も色調も変化もない世界になってしまう。安全だけど、果たしてそれが満たされた人生と言えるのかどうか。晴れの日も雨の日もあり、楽しいことも辛いこともあってこそ、真に豊かな人生なんだろうな、なんて考えながら読みました。
SFは苦手という人にとっても読みやすい小説なので、日本での映画公開前に(公開されるかな・・?)読んでみたいという人は、ぜひどうぞ。
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